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至極のオリーブオイルを作る「オキオリーブ 澳 敬夫さん」農園をコミュニティーの場に

至極のオリーブオイルを作る「オキオリーブ 澳 敬夫さん」農園をコミュニティーの場に

香川県高松市の中心部からほど近い、なだらかな丘陵地。その6.3ヘクタールの広大な土地に、一つのオリーブ農園があります。

その名も「オキオリーブ」。園主でオキオリーブ代表の澳 敬夫さんは、オキオリーブ高松農園を拓き、オリーブの栽培とオリーブオイルの生産に取り組んでいます。

香川に魅せられ4年前に移住したという澳さん。現在暮らしている香川県の魅力と、オキオリーブ農園でのユニークな企画やこれからについてお話いただきました。

オリーブオイルに魅せられ香川に移住

岐阜県出身で進学を機に上京してから、ずっと東京の証券会社に勤めていた澳さん。その慣れ親しんだ職を離れ、香川への移住を決意させたきっかけはなんだったのでしょうか。

「東京で勤めていた頃、香川に赴任していたことがありました。そこで純国産のオリーブオイルに出会ったんです。

これが『今まで使っていたオリーブオイルは何だったんだろう?』というぐらいの衝撃の美味しさだったんですね。その素晴らしさに感銘を受けて、『世界最高のオリーブオイルを日本から世界に発信したい』と、思うようになったんです。それで会社を辞め、香川への移住を決意しました。」

オリーブオイルの魅力だけでなく、香川の人の人間性に惚れたことも移住を決めた理由の一つなのだそう。自治会や地域の人同士が繋がる古くからのコミュニティーが残っていながらも、新しく加わった人を温かく迎え入れてくれる…そんな地域の雰囲気が、移住、そしてオリーブ農園を拓くことを後押ししました。

「オリーブ農園を作るにあたって、香川県の全市町村を回って土地を探しました。市長に会ってお話を伺ったりもしましたよ。その中で、西植田地区の方は非常にフレンドリーで、オリーブ農園を開きたいという私の希望にも「ぜひこちらにお越しください」と快く応じてくださったんです。今も、温かく見守ってくださっています。」

現在、6.3ヘクタールの面積の土地に1500本ほどのオリーブの木を植えているオキオリーブの農園。

「広さをイメージしていただくとしたら、小学校の校庭6つ分ぐらいですね」とさらりとおっしゃる澳さんですが、その広大な土地を一人で管理されていることを想像するだけで、すごい!とつい声を上げてしまいます。

「最初は、山を切り拓いて、オリーブの苗を植えるところから始まりました。現在では、大人の背丈の2倍ぐらいの高さまで育ち、青々とした葉を茂らせています。2017年から本格的な収穫を行えるようになりました。」

素材の持つ旨みが引き立つ「澳オリーブオイル」

香川の温暖な気候が育んだオリーブを贅沢に搾った、オキオリーブ渾身の逸品「澳オリーブオイル」。初めて見た時には、その美しいフレッシュグリーンのオイルに驚きました。

その澳オリーブに込められたこだわりとは。

「一般的なオリーブオイルとの決定的な違いは、オイルなのに油っこくないという点ですね。旨みとコクがあるのに、あっさりしてるんです。口に入れると、オリーブのフレッシュな香りがいっぱいに広がります。

澳オリーブオイルは鮮度にこだわっていて、いわば新鮮野菜みたいなもの。収穫から出荷までわずか3日でお届けしています。収穫から4時間以内にオリーブオイルを抽出し、完全無濾過で絞っているのでオリーブの香りが逃げません。」

オリーブのフレッシュな香りを堪能できるのが澳オリーブオイルの特長の一つ。一方で、素材と合わせて使うことで、オリーブ独特の匂いが消えて素材の旨みが最大限に引き立つのだとか。素材の味を活かしたいという日本料理やフレンチのシェフからの評価が高い理由がわかります。

そんな澳オリーブオイルに合う、香川自慢の食材を教えていただきました。

「魚なら、香川特産の『オリーブはまち』。これはオリーブの葉を餌に育ったはまちなんですが、はまち特有の脂っこさがなくて、上質なトロのような味わいなんです。地元の人が『はまちは“オリーブはまち”しか食べない』というぐらいの絶品。そのオリーブはまちに澳オリーブオイルと小豆島の醤油を垂らして食べるとね、これはもう最高ですよ。

野菜なら、アスパラガスですね。『さぬきのめざめ』という香川県産のアスパラガスがあり、アクがなくて柔らかく、甘みがあります。それを茹でたものに澳オリーブオイルを垂らしても美味しいですし、ソテーもおすすめです。」

オリーブはまちにアスパラガス、そして澳オリーブオイル…お話を聞いただけで美味しさが伝わります。特にオリーブはまちは、なかなか県外には出回らない幻の魚。ぜひ澳オリーブオイルと合わせて香川で味わいたいものですね。

気軽に、そして贅沢に卵かけご飯にもおすすめ

オリーブ農園を新しいコミュニティーの場に

オキオリーブ農園では、オリーブの収穫体験の他、様々なイベントが開催されています。

「2018年11月にはオリーブ畑の中でフラメンコのショーを行いました。本場のスペイン料理やサングリアとともにフラメンコを鑑賞するイベントです。また、以前には、香川のサーカス団「瀬戸内サーカスファクトリー」に出演いただいたこともあります。

瀬戸内サーカスファクトリーは、伝統的なサーカスとは一線を画した新しいサーカスに取り組んでいるんです。フランスの「シルク・ド・ソレイユ」のような現代サーカスですね。演劇の要素を取り入れたメッセージ性の高い作品や、美術作品とのコラボレーションといったユニークな舞台を作っています。うちでやった時には、敷地内にあった桜の木にロープをかけてサーカスをしましたね。」

これらユニークなイベントでは、一緒にオキオリーブ自慢のオリーブオイル「澳オリーブ」を使った料理も楽しめます。気持ちの良いオリーブ農園で繰り広げられる楽しいイベントと、この土地ならではの美味しい料理に舌鼓…いつもの旅とは一味違う体験ができそうです。

「今後、週末ごとにイベントを企画できたらなと思ってるんですよ。それも、私が一方的に企画するのではなく、逆に皆さんから提案してもらえたらいいなと。『この場所でこんなイベントしたら面白いんじゃない?』とかね。

オリーブ畑を、皆さんの自由な発想で活かしてもらえればと思います。」

「ツリーハウスを作るとか、山の上から竹を渡してすごく長い流しそうめんをやってみるとか…参加者と一緒に作り上げていけるようなプロジェクトも始めたいですね」と語る澳さんの言葉から、これからどんな楽しいことが始まるのだろう、と様々な可能性を感じました。

「オリーブオイルの生産と販売だけでなく、ここをコミュニケーションのスペースにしたいという想いがあるんです。仕事をして貨幣を得て、物と交換する、というのが現代社会における働き方、生き方なんですが、そうではない新しい社会システムを作りたいと思っているんですね。

ちょっと大げさに言ってしまえば、貨幣に頼らない交換システムをこの場で実現できないかなと。そういう社会をめざして、この場をつくっていきたいですね。」

オリーブ農園を通して、地域や社会全体の活性化に取り組む澳さん。どんな人も温かく迎える人柄と、次から次へと湧き出るアイディアに惹かれ、オキオリーブには国内外から多くの人が集まっています。

澳さんの目指す、新しいスタイルのコミュニティーのこれからの展開が楽しみですね。

オキオリーブHP:https://www.okiolive.com/

記事/さとゆめ編集部