こんにちは。さとゆめ編集部です。
「ふるさとの夢をかたちに」をテーマに、日本全国で地方創生の伴走型コンサルティングをしている株式会社さとゆめ。
今回ご紹介するのは、さとゆめで店舗開発や運営をご一緒している「店舗育成のプロ」、株式会社ブリッジの瀬尾さん。
これまでの歩みや大事にしていること、これから展開していきたいことなどをお聞きしました。
■瀬尾さんのバックグラウンドをお聞かせください。
鳥取県の出身で、小売業を営む家系に育ちましたので、基本的には「商人」だと思っています。30代で拠点を東京に移し、鳥取県の単独運営していたアンテナショップの店舗再建に関わったことから地域活性化・自治体のPRに関わるようになりました。 鳥取県・岡山県の共同アンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」では、プレゼン・立ち上げから関わり、開店から4年半は、1F物販店長をやっていました。
鳥取で家業の3代目を目指して仕事をしていましたので、地方の商売において、現場・マネジメントの両方を経験していることが、強みだと思います。
■ご実家で行われていた小売業と、アンテナショップの運営に違いはありましたか。
基本的に、小売業に限らず、どのような業態であっても事業を継続していく為には、利潤を上げるというのは大事なことですが、アンテナショップはそこに加えてPRの側面がとても大きいです。そのため、売れない商品だからただ店頭から下げるではなくて、なぜ売れないのかをお客様の声を聴いて、生産者様・メーカー様へフィードバックすることも重要な仕事です。また、つくる、発信するということを考える時に、当事者の方の状況を理解することも大切なことだと思っています。例えば、関係者である行政側から「売上を上げて欲しい」と言われても、生産者様・メーカー様の生産能力・納品体制など含めた状況があり、現在の姿になっていること。そこを調整しながら、各方面と対話をしながら店づくりをします。そういったハブのような役割を果たす点が大きな違いだと思います。
■さとゆめに関する案件では、どのような業務を担当されましたか。
青森県六ヶ所村にある「六旬館」で、店舗運営サポートを行いました。具体的には、店舗レイアウトのアドバイス、店長業務の見直しと改善ポイントの提示・改善サポート、販促へのアドバイスなどです。
他、都庁内で実施されているTokyo Gits62(都庁内アンテナショップ)の立ち上げをお手伝いしました。店舗の立ち上げは、ただ商品が揃えば良いだけではなくて、店舗に立つメンバーへの研修や、マニュアルの作成、店長育成サポートなども行います。店長として店舗運営にも携わりました。
立ち上げから関わったTokyoGifts62では、同様のアンテナショップであっても1つとして同じ業態にはならないのだなということを改めて認識しました。
私の出身は鳥取県で、人口は55万人程度です。この人口は東京都の世田谷区や練馬区、八王子市よりも小さいんですね。そういう意味では、私にとって東京都は地方自治体というよりも1つの国くらいに感じています。すると、やはり同じアンテナショップでも求められることが違います。ブランディングの方向性も持っているものも違います。面白いですよね。探求は尽きないなと感じました。
■さとゆめとお仕事をしていただいている以外にも、多くの地域の現場を担当されていると思いますが、お仕事の中で大事にしていることはなんですか?
「当事者の皆さんの望んでいることを実現すること」そして、「その時々の現場にある答えを大事にすること」です。
多くの場合、問題だと言われていることの解決策の源泉の多くは現場に関わる方が持っています。それを、言葉にして顕在化させ、共通認識にしていくようにしています。
プロなんだから答えがあるだろう、と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。同じような事象に見えても、解決策は現場によって異なりますし、もっと言えば、同じ現場であっても時間軸で解決策は変わってきたりします。
実家の小売業に関わっていた時にも「瀬尾さんは臨機応変という言葉が好きだよね」と言われていましたが、当たり前のことだと思っています。例として、店頭で売り出し商品が閉店前になくなっても、店舗は営業を続けているので、仕入れの数が足りなかったことを、その場で議論しても仕方がない。代わりの商品を店頭に並べ直すことなど、常に動き続けている店頭をコントロールしていくことが、大切だと考えています。
コンビニの雄である セブンイレブンを実質的に創業された鈴木元会長がが仰っていた言葉「小売業は変化対応業」というのは本当にその通りだと思っていますし、大事にしていますね。
■地域の仕事のやりがいや楽しさを教えてください。
目標が達成される瞬間に立ち会えること、ともに学び、成長できることです。目標の達成というのは、売上ではなく「人の成長」です。
現場が大事だ、現場に解決策がある という話をしてきましたが、現場の成長には「お客様の声を聴く」ことが不可欠です。最初にくることは、「売上を上げよう」ではなくて、現場で汗をかいてくれる人を作っていく環境が整えば、人財が育ち、結果として、売上が上がっていきます。商品に頼らない売り場作り、を心がけています。その為に、一緒に店頭でチラシを配って、一緒に汗をかいていきたいですね。
■今後やっていきたいこと、広げていきたいことなどお聞かせください。
アンテナショップという考え方を世界に広めていきたい、と思っています。
以前仕事の中で、海外から来日された方から「自分の国にはアンテナショップのようなお店はない」と言われて、なるほどなと思ったのです。他の地域の事例を自分なりに工夫して、業務を改善していくこと。他の地域との商品・サービスとの協業・マッチングをするというのが、アンテナショップの今後の方向性だと思っています。これを海外でも展開できたら、さまざま地域の皆さんや、地域経済にも貢献できるのではと思っています。
常に目線が地域の現場にある瀬尾さん。これからも様々な地域でご活躍されていくのだろうなと思います。
記事/さとゆめ編集部