さとゆめ

ふるさとの夢と想いを届けるウェブマガジン

村民がゾンビに?!小さな村のユニークな村興し「ゾンビ村コスゲ」

村民がゾンビに?!小さな村のユニークな村興し「ゾンビ村コスゲ」

ある日、平和な村の日常が一変し、ゾンビの村と化す…

まるで映画の冒頭のような、聞いただけでも摩訶不思議で不気味な現象ですが、実際に一夜にしてゾンビ村と化してしまった場所があるんです。

その場所は、山梨県北都留郡小菅村。都心からわずか2時間で行くことができる、多摩川の源流沿いに位置する人口約700人の小さな村。

日本の里山の風景が残る、都心からのアクセスが良い大自然を満喫できる場所として注目されていますが、ある日突然村にゾンビが出現し、村の平和を脅かす危機が訪れました…。

ゾンビ村コスゲの正体

もちろんこれは半分冗談!村民が実際にゾンビになってしまうというのは現実に起こった事件ではなく、ことの正体は小菅村で行われたとある村興しのイベントの1つ「ゾンビ村コスゲ」です。

このイベントは、2017年の11月4日に行われた小菅村のフェスティバル「第20回山梨県小菅村 大地の恵みまつり」での特別企画「ゾンビ村コスゲ」ホラーアトラクションです。

温泉 小菅の湯とその周辺が1日限定でお化け屋敷(ゾンビ屋敷)に変身するというもの。数々のお化け屋敷制作を手掛けるオバケリアの手により、迫力満点のクオリティーの高いゾンビ村が出来上がりました。

昼の部(ファミリー向けお化け屋敷)と夜の部(スリル満点の本格派お化け屋敷)に分けられ、ちいさなお子様から、おじいちゃんおばあちゃんまで多くの人が楽しめるイベントとなりました。

ゾンビ役として、小菅村の多くの村人が参加。本格的なゾンビメイクを施してゾンビになったことで、子どもからお年寄りまでイベントの立役者になりました。住民みんなが参加する、新しい村興しの形ですね。

斬新なアイデア、そして村を挙げて行われたということから、SNS上等でも話題になり、小菅村が注目される大きなきっかけとなりました。

手作り感が面白い!ゾンビ村コスゲ動画「KOSUGEMURA OF THE DEAD」

ゾンビ村コスゲがここまで話題になったのはとある動画がきっかけ。その動画は2017年10月5日にYou Tubeに公開された「KOSUGEMURA OF THE DEAD」です。

5分程度のこの動画は「小菅村に移住した主人公がゾンビと戦いながら村を発展させていく」という設定のゲームを、ゲームのプレーヤーとして実況している動画です。

動画では、小菅村に実際にお住いの村民がセーラー服や海水パンツ姿を披露したり、なぜか弱そうなタヌキや、制作物としてはクオリティーの低いクマの着ぐるみが登場したりします。

また、村長(本物の小菅村村長)が壁に向かって歩き続けるバグ現場も出てくるなど、小菅村の人たちが楽しみながら参加されているのを感じます。ついつい笑ってしまうこの動画、ホワーが苦手な方にもおすすめですよ。ぜひ見てみて下さいね。

ただの面白いだけじゃない「KOSUGEMURA OF THE DEAD」に込めた想い

「KOSUGEMURA OF THE DEAD」の制作を手掛けたのは、武蔵野美術大学映像学科卒業、東京農業大学の非常勤講師の地主恵亮さん。持ち前の映像制作技術を生かし、この面白い動画を作りました。

動画そのものは非常にコミカルですが、制作した背景には小菅村をのこれからを想う大切な理由があります。

その理由は、「小菅村への移住を増やすこと」

インパクトある動画をきっかけに小菅村の存在を知ってもらう。そして、実際に遊びに来てもらい、小菅村を好きになった先に移住があると考える、小菅村の方々の想いもあり、村人が参加するこの企画が実現しました。

村人の中には最初はなんでゾンビ?と疑問を持つ人も少なくありませんでしたが、小菅村役場の担当者、地主さんを始めとする制作者の熱い想いがあり、最終的には多くの村人が動画に協力し、出演までしてくれました。

最後は「続きはリアル小菅村で」と締めくくられるこの動画。実際に小菅村に足を運びたくなるような工夫が随所にあり、地域PRという観点からも非常に注目を浴びました。

なんでゾンビなの?村興しが「ゾンビ村コスゲ」になった理由

村興しのテーマがゾンビになったのも、実は深い理由があります。それは、村人のプライバシーに配慮したこと。

セリフを上手に話すのが得意でない人もいるため、一人称視点のゾンビゲームという設定にしてセリフの問題を解決。同時に人件費を減らせて制作費も抑えられることから、このアイデアが生まれました。

また、ゾンビメイクをすることで直接村人の顔を映すことがなくなり、村人のプライバシーにも配慮。このアイデアは特に動画の中学生が登場する場面で役に立ったそうですよ。

ゾンビ村コスゲをきっかけに小菅村の魅力を発信

「KOSUGEMURA OF THE DEAD」がSNS上でも非常に話題になったことから、動画公開の1か月後に行われた「第20回山梨県小菅村 大地の恵みまつり」では、なんと例年の2倍となるおよそ3,000人が来訪しました。

もちろん来訪した方の多くがゾンビ村コスゲにも参加。みなさん思う存分怖がり、楽しまれた。同時に祭りでは小菅村の魅力を広める活動もしていたことから、ゾンビ村コスゲ以外の小菅村の知られざる魅力を知るきっかけになったのではないでしょうか。

小さな村の不気味でユニークな村興し。これからの取り組みが気になりますね。次はどんなユニークなことが起きるのか、小菅村から目が離せません!

記事/さとゆめ編集部