こんにちは、さとゆめの久保です。
本日は、茨城県大子町において、自然災害や新型コロナウイルスといった度重なる困難に立ち向かい、森林セラピー事業を推進する地域の方々の取組みを紹介します。
大子町は、茨城県と福島県、栃木県の県境に位置して山々や森林といった自然に囲まれた地域です。町の中心を流れている一級河川の久慈川、茨城県最高峰の八溝山、日本三大名瀑に数えられる「袋田の滝」など、自然資源に恵まれた町です。
そんな大子町の森林資源を活用して、人々に健康増進・リラックス効果を感じて頂く体験を提供することで森林の利活用や森林保全につながると考えて、大子町が開始したのが森林セラピー事業です。
森林セラピーは、科学的根拠が裏付けられた森で癒し効果・リラックス効果を感じて過ごす体験です。大子町が認定されている「森林セラピー基地」、そして大子町の“奥久慈憩いの森”が登録されている「森林セラピーロード」は、現地と都会との比較実験を通じて、癒しの効果・病気の予防効果が科学的に認められています。また、多くの森林セラピー基地では、森林セラピーガイド(トレーナー)が森の癒し効果を更に高めるサービスを提供しています。
全国に60以上ある森林セラピー基地の一つである大子町は、東京からも比較的アクセスが良く、年間を通じて降雪量が少ない森で常緑樹も多いため、一年を通じて森林セラピー体験ができる強みを持っています。
2018年から始まった大子町森林セラピー事業は、町内の多様な事業者を巻き込んだ森林セラピー協議会の設立、町内人材から森林セラピートレーナーを育成する仕組みの構築、町内のトレーナー育成事業、と順調に進んでいました。
しかし、2019年10月、台風19号による豪雨で町を流れる久慈川が氾濫し、大子町は大きなダメージを負ってしまいます。河川沿いの地域は多くが浸水し、土砂が道路を埋め尽くし、大子町役場も一階部分が浸水してしまいました。さらに、水戸と大子町をつなぎ、町民や観光客の移動手段であったJR水郡線の橋梁が流されて不通となるなど、町内のインフラにも大きな影響を与えました。
さらに、2020年4月以降は、新型コロナウイルスの蔓延により、町内への旅行客も大きく落ち込み、飲食・宿泊事業を含む町の基幹産業であった観光業が大きなダメージを受けてしまいます。
このように森林セラピー事業を進めることが難しい状況で、しかし、大子町のトレーナーや大子町役場の方々は前を向き、With/Afterコロナを見据えて、自分たちのガイドスキルの向上を図りました。彼らは、人の移動制限が再度緩和される時期を見据えて、お客様を丁寧に迎え入れられる体制の構築に注力しました。
さとゆめも、そのような地域の方の思いを支えるため、新型コロナウイルスのガイドラインに沿った最大限の感染対策を施したうえで、トレーナーのスキルアップ講座を開講しました。同講座では、森林セラピーの先進地である長野県信濃町より講師を招聘し、2021年に大子町のトレーナーがお客様を温かく迎え入れることを可能とするまでのレベル向上を図りました。
さらに、感染対策を徹底したうえで少人数のモニターツアーを実施して、実際のお客様を想定したサービスの提供も行いました。本来、2019年に実施するはずだったモニターツアーが、台風19号、新型コロナウイルスの影響で1年遅れの実施となりましたが、それでも町内トレーナーの自己研鑽の積み重ねや講師の方々の協力のおかげで、高品質のサービスを提供することができました。
ツアーに参加頂いた方からは、「大子町の森林セラピーで森林のリラックス効果を十分に感じられた」、「素晴らしいフィールドとガイドのスキルで癒された」、「他の森林セラピー基地でのサービスと比しても高いレベルであった」等、高い評価を頂くことができました。
2021年からは、森林セラピートレーナーによるサービスの提供だけでなく、町内の宿泊事業者、飲食事業者との連携をさらに強化し、町全体での森林セラピーの受入体制を構築していくことが計画されています。また、大子町内の古民家やサテライトオフィス施設、レンタルサイクル事業とも協力して、森林セラピーを活用した都市部企業のオフサイトミーティングやワーケーションの受入事業も強化していくことが図られています。
さらに、さとゆめより地域おこし企業人として私、久保が大子町まちづくり課に派遣され、地域の皆さんや大子町役場の皆さんと現場レベルでも伴走することが予定されています(2021年5月~を予定)。
自然災害やコロナ禍においても、絶望したり、諦めたりせずに、前を向いて、力を蓄えて受入の準備を進めている地域の方々が、たくさんいらっしゃいます。コロナ禍でもできること、可能性を模索して挑戦していくことは都市でも地域でも重要なことだと思います。
今後も、さとゆめは、大子町の森林セラピー事業の発展、地域での雇用創出・産業振興に貢献することを目指して、伴走していきます。