さとゆめ

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さとゆめたる所以  伴走型コンサルタントの行動規範10箇条[前編]

さとゆめたる所以 伴走型コンサルタントの行動規範10箇条[前編]

さとゆめ代表取締役の嶋田です。

最近「データドリブンなマーケティング」とか「テクノロジードリブンなベンチャー」など、〇〇ドリブンという言葉をよく耳にしますが、さとゆめは、「ミッションドリブンな会社」と言えるでしょう。

さとゆめのミッションは、社名の由来にもなっている「ふるさとの夢をかたちに」というもので、計画・戦略をつくるだけでなく、目に見える商品・サービス・店舗、さらには、売上・雇用・移住者数などの目に見える成果が出るまで地域に伴走していこうという我々の思いを凝縮したものです。

ただ、今でこそ、全国様々な地域で道の駅やアンテナショップの設立に携わったり、開発した商品が特産品コンクール等で賞をとったりと、「かたちに」なってきていますが、創業時には、商品開発や店舗の立上げの実績はありませんでしたので、まさに、「ミッションしかない」状態でした。こちらの写真は、2013年5月にさとゆめを創業する前、前職の会社の送別会で、新しく立ち上げる会社(さとゆめ)の構想をプレゼンしたときの写真です。

普通、送別会と言えば在職時の思い出話や上司・同僚への感謝の言葉を述べるものですが、あの時は会社を立ち上げることに高揚していたこともあって、場違いなことをしました(今思い出すと、恥ずかしい)。私が持っているA4のプリント用紙には、MSゴシックで「ふるさとの夢をかたちに」と無造作に書かれています。あのときには、名刺も、WEBサイトも、実績リストも、会社案内もなく、持っているものは、あの紙だけ。それを誇らしげに見せながらあちこちでプレゼンしていました。良くも悪くも、ミッションドリブンでのスタートであったことは間違いありません

そして、それから7年間、何の実績もなかった出来立ての会社にお声掛けくださった勇気ある町や村に徹底的に伴走してきた結果、今では30地域以上の地域と3年以上のスパンで地域づくりの活動や事業に関わらせて頂いています。

ただ、一方で、3年、5年と様々な地域に伴走していく中で、計画フェーズだったものが、事業化フェーズに入ることで、より業務の難度やリスクが高まってきたり、社員数も15人を超えるなど様々なバックグラウンドをもったメンバーが増えてきたことで、「そもそも伴走とは何か」、「どこまで伴走するのか」、「何を持って、“夢をかたちに”できたと言えるのか」などの声が増えてきて、「ミッション」だけではドリブンできない状況になってきていました。

そうした中で、2019年7月に、さとゆめ創業メンバーが出会った地、さとゆめのルーツとも言える長野県信濃町で全社合宿を開催し、ミッションを、より具体的な目標、会社の価値、さとゆめのメンバーの行動規範に落とし込んでいく作業に着手しました。

以下が、2019年に策定したさとゆめのMission(使命)・Vision(目標)・Value(価値)・Principle(行動規範)です。そして、それらをまとめて「さとゆめたる所以(ゆえん)」と名付けました。さとゆめのメンバーは、日々全国各地に出張していますし、そもそも地方勤務の社員も増えてきているので、なかなか顔を合わすこともありませんが、一人ひとりのさとゆめの仲間達が、この「所以」を胸に活動してくれれば、さとゆめのミッションは実現し、さとゆめはよりさとゆめらしくあり続けるものと思います。

●Mission(使命)・Vision(目標)・Value(価値)

●Principle(行動規範)

それぞれに込めた意図を語り始めたら紙面が足りないので、行動規範(Principle)10箇条を、前編と後編にわけて、少し解説したいと思います。本記事では、最初の5箇条を紹介します。

◆行動規範(Principle)

① そこに夢と熱意を持った人がいるから (Passion)

何かしらのきっかけで縁ができた地域(人、会社、自治体等)に伴走すべきかどうかを判断する際の指針。 さとゆめは、計画フェーズから事業化フェーズ、さらには事業を安定軌道フェーズまで持っていくこと目指していますが、そこまでいくのに、少なくとも3年、5年はかかります。そのときに、地域の中で、我々とともに3年、5年走ってくれている「走者」が必要です。走り続けられる「走者」はどういう人か。私の経験上、「立場」や「所属」、「肩書」ではなく、やはり「夢と熱意」を持った人は、長く走り続ける忍耐力、そして、どんな障害が出てきても、乗り越えていく突破力を持っています。この人をサポートしたいと思える人がいれば、私はその地域と伴走を始めることにしています。

② まずは与えろ (Give)

我々が地域に入るときに、必ずしも、予算が既にあるわけではありません。「過疎化で地元企業の経営状況がどんどん悪化してきています。起死回生で、都内にアンテナショップを出したいと思っているのですが、手伝ってもらえませんか?予算は・・・、ありません。」というような相談が持ち込まれることが少なくありません。そのとき、その人から熱い想いとやり切る覚悟を感じれば、まずは話を聞くことにしています。そして、その人とともに、事業計画書をつくって、補助金やクラウドファンディング、地元企業からの寄付金などでお金を集めて、開業にこぎつけるようなことが少なくありません。例えば、河北町アンテナショップかほくらしは、そのような経緯でした。必ずしも予算ありきではなく、これはビジネスになり得る、地域に貢献しえる事業に育てられると判断できれば、まずは、Giveの精神・姿勢で動いていきたいと考えています。

③ ぶつかってなんぼ (Bold)

前職のコンサルタント時代、これは前職に限らず、コンサルティング業界全体の傾向だと思いますが、クライアントとぶつかることを非常に恐れる風潮を感じていました。クライアントが怒った、何かしら小言を言ったとなれば、(これまで全く打合せに同席していなかったような)会社のお偉いさんが一目散に謝りにいく、ような。もちろん、業務上の過失があれば、当然ですが、双方に考えの食い違いがあったり、ボタンの掛け違いがあって、熱くなって言い合ってしまった、ということであれば、それは理解を深める良いきっかけになりますので、どちらかと言うと歓迎すべきことです。熱くなるというのは、想いがあるということですから。なので、さとゆめでは「ぶつかる」ことを恐れない、歓迎すべきことと考えています。

④ クライアントも外注先も、みな一つのチーム (Team)

クライアントとも、あるいは、外注先とも、受発注の関係を超えて、本音でぶつかって、お互いに理解を深めていくことで、チームが出来上がってきます。さとゆめは、例えば、「一つの町単位のアンテナショップ」、「村全体が一つのホテル」、「山奥の、村道のどんつきにある道の駅」など、世の中にあまりない、ノウハウが蓄積されていないような事業に挑戦することが多いので、教える側・教わる側、発注する側・受注する側、デザインする人・頼む人というような線引きを抜きに、一からみんなで議論しながらあるべき姿を見出していく姿勢が必要です。そして、一つのプロジェクトが終われば、そのチームで、また新しいプロジェクトに挑戦していくことも少なくありません。そうすることで、チームとしての経験値を上げていくことができます。

⑤ 泥だらけの実績を積み上げよう (Proud) 

これまた、コンサルティング業界にいて感じることですが、「ピカピカの実績」を求める傾向があります。国の省庁の仕事、政令市の仕事などのネームバリューのある仕事、大きな予算があって、まあこれは成功するだろうという仕事、失敗しない仕事など。確かに、そういう実績は、個人のキャリアや、会社のステータスを考えると、欲しくなる気持ちも分かります。ただ、今過疎化がますます進む地域で求められているノウハウや実績は、名もなき村や町、ブランディングされていない地域で、ゼロから事業を立ち上げて、様々な予期せぬ壁を乗り越えてきたという泥まみれ、汗まみれの実績と、そこで蓄積されてきたノウハウです。さとゆめではそういう実績が増えてきていることを、誇りに思っています。

いかがでしたでしょうか。次回は、後半の5箇条を紹介します。

これらの行動規範は、1年ほど前に策定したばかりで、今まさに、現場で試行錯誤しながら、地域にとって意味のあるコンサルタント像を、私も含めて、一人ひとりのメンバーが追い求めているところです。

これが、私たちの仕事、会社の理解、そして、地域づくりを考える際のヒントに繋がればなによりです。

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記事/さとゆめ編集部