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さとゆめたる所以  伴走型コンサルタントの行動規範10箇条[後編]

さとゆめたる所以 伴走型コンサルタントの行動規範10箇条[後編]

さとゆめ代表取締役の嶋田です。

さとゆめは、ミッションドリブンな会社ですが、創業から月日が経ち、仲間が増え、ミッションだけではドリブンできなくなったとき、「さとゆめたる所以(ゆえん)」というステートメントを策定しました、という話を先日の記事で書きました。

そして、そのステートメントの中でも最も暑苦しいと評判の、行動規範(Principle)10箇条を紹介しました。

さとゆめたる所以 伴走型コンサルタントの行動規範10箇条[前編]

前回紹介した以下の5箇条は、誰と伴走するのか、伴走しはじめたらまずどう地域と接するのか、どうやってチームをつくっていくのか等、プロジェクト初期に指針となる項目が中心となっています。

① そこに夢と熱意を持った人がいるから (Passion)

② まずは与えろ (Give)

③ ぶつかってなんぼ (Bold)

④ クライアントも外注先も、みな一つのチーム (Team)

⑤ 泥だらけの実績を積み上げよう (Proud)

今回紹介する後半の5箇条は、どちらかと言うと、プロジェクトが成熟してきて、ただの計画、机上の空論だったものが、商品、サービス、組織、事業など「目に見えるかたち」になってきて、いよいよ引き返せない状況、リスクが発生する状況になってきたときに必要になるマインドセットが中心になります。

ちなみに、本記事のトップの写真は、さとゆめがプロデュースした古民家ホテル「NIPPONIA 小菅 源流の村」の開業イベント後の集合写真です。3年、5年かけて立上げてきた事業がかたちになったときの喜びは格別です。しんどいことも沢山ありますが、一つ一つ乗り越えていきたいものです。

⑥ リーダーを支えるリーダーになれ (Leader)

行動規範①で、「肩書」に囚われることなく「夢と熱意を持った人」に伴走しようと書きましたが、そうした人は、自治体の首長、会社の社長、NPOの代表など、組織のリーダー的なポジションに居ることが少なくありませんし、我々が伴走する中でリーダー的なポジションにステップアップしていくことも、よくあります。そうしたときに、リーダーというものは、誰にも相談できない悩みやプレッシャーを抱えているものですし、問題が起きたときに自分に全ての責任があると自分を追い込んでいき心身に支障を来たすことすらあります。我々「伴走者」は、伴走の対象であるリーダーの悩み・立場を深く理解し、リーダーが乗り越えるべき問題のソリューションを提供しなければなりません。我々自身がリーダーである、または、リーダー的な素養を持つ必要があるのです。

⑦ その覚悟が信用になる (Challenge)

伴走を続けていくと、プロジェクトが計画フェーズから、事業化フェーズへと進んでいきます。そして、事業化に向けて、店舗やホテルの建設、商品開発のプロジェクトなら生産ラインの整備が始まります。また運営組織の体制づくりなども本格化していきます。そうしたときに、我々もまた、地域やそのプロジェクトへの関わり方に関して、ある種の決断を求められることが少なくありません。 SPC(特別目的会社)をつくるのでさとゆめに出資して欲しい、〇〇さんに役員になってもらいたい、〇〇さんに地域に移住してきてプロジェクトの現場マネージャーを担ってもらいたい、等々。全てにYESと言う必要はありませんが、それが地域のために、そして自分のキャリアにとって価値のあることであれば、前向きな決断をすることを、さとゆめでは全面的に応援・後押ししたいと思っています。それが、その人の信用を一段大きなものにし、より大きな役割、より大きなスケールの仕事が用意され、ビジネスパーソンとしてのステージアップに繋がるからです。

⑧ 諦めなければ、それは失敗ではない (Never Give up)

さとゆめは、今では、アンテナショップ、道の駅、ホテルなど様々な施設の運営に参画したり、地域でのヘルスツーリズム事業を立ち上げ・運営組織をつくったりしていましたが、どのプロジェクトも順風満帆に来たわけではありません。どのプロジェクトも、数えきれないほどの「失敗」をしてきています。

とある道の駅では、オープンして2週間後に駅長が、2ヶ月後にシェフが辞めてしまい、1ヶ月ほど臨時休業に追い込まれてしまったり、オープンしたアンテナショップが目標売上になかなか到達しなかったり、商品やメニューの構成がマーケットフィットせずに業態の変更を余儀なくされたり。その時点だけを切り取れば、確かに「失敗」というか「大失敗」でしょう。ただ、その後、現場のオペレーションや運営体制、商品構成を見直して、もう一度、スタッフの意識共有をするなどして、道の駅はその後黒字になって、その村の重要な集客施設へと成長していますし、アンテナショップは大幅な刷新後軌道に乗りはじめています。諦めなければ、あなたの意思次第、チームの行動次第で、失敗を成功に変えられる可能性があります。失敗かどうかはあなたが決めるのです。

⑨ 成功を、自ら定義せよ (Success)

世の中には、「成功事例」、「成功談」が溢れていますが、何を持って成功というのか定義もせずにその言葉が使われていることが少なくありません。地方創生、地域活性化に関しても、内閣府や総務省などが「地方創生の成功」を定義しているわけではありません。逆に言うと、一人ひとりが成功を定義すればよいのです。

私は、究極的に、地方創生・地域活性化とは、商品・サービスが出来て、それの販路開拓・集客が出来て、売上が立つようになって、売上が集まって雇用が生まれて、雇用が集まって産業が体を成して、初めて、地域外からの移住者が増えて、移住者が家族をつくって、子供が生まれて、子供の声が地域に響き渡るようになって、初めて「活性化」や「創生」と言える状態だと考えていますが、そこにいくまでに5年、10年かかりますので、まず、今年はどこまで目指すのか、3年後どういう状態になっていたら合格なのか、しっかり定義することで、「小さな成功」を積み上げつつ、着実に「大きな成功」に近づいていくことができます。

⑩ 辺境の地から革命を起こそう (Edge)

私が敬愛する民俗学者・宮本常一が、郷里である山口県周防大島を離れる際に父から贈られたという言葉「父の教え」の一節に、このような文章があります。

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これからさきは子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。そうしないと世の中はよくならぬ。

自分でよいと思ったことはやってみよ、それで失敗したからといって、親は責めはしない。

人の見のこしたものを見るようにせよ。その中にいつも大切なものがあるはずだ。あせることはない。自分のえらんだ道をしっかり歩いていくことだ。

(宮本常一「民俗学の旅」講談社学術文庫)

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「人の見のこしたものを見るようにせよ。」

この言葉は学生時代に出会った言葉ですが、ずっと自分のコンサルティングの拠り所にしてきました。さとゆめがフィールドとしている地域は、離島、源流、半島、県境などまさに、「人の見のこした」ようなところですが、昔ながらの農法・漁法、伝統文化、暮らしが残っており、それが、SDGsが国際社会の約束となり、コロナ禍で人々が本質的なものを考えなおすようになった今、より「大切なもの」になってくるように感じています。そうしたまさに辺境の地から、「人の見のこした」「大切なもの」を発掘し、商品・サービス・産業化していくことこそがさとゆめの存在意義だと感じています。

「さとゆめたる所以 ~伴走型コンサルタントの行動規範10箇条~」、いかがでしたでしょうか。これが、私たちの仕事、会社の理解、そして、皆様が、地域づくりや組織づくりを考える際のヒントになれば幸いです。

また、こんな暑苦しい行動規範を持つ会社に興味がある方、トコトン地域に入り込んでやってみたいという方がいらっしゃったら、以下の人材要件も参考にして頂き、お問合せ頂ければと思います。

地域と仕事とキャリアの話「地方創生の仕事と人材要件について」1

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記事/さとゆめ編集部