さとゆめ

ふるさとの夢と想いを届けるウェブマガジン

町と描く、町を描く。地域おこし企業人がひらく地方創生の未来 前編「さとゆめ/小海町 小松瑞季×総務省 梶原清」

町と描く、町を描く。地域おこし企業人がひらく地方創生の未来 前編「さとゆめ/小海町 小松瑞季×総務省 梶原清」

こんにちは。さとゆめ編集部です。

「ふるさとの夢をかたちに」をテーマに、日本全国で地域政策の伴走型コンサルティングをしている株式会社さとゆめ

今回ご紹介するのは、株式会社さとゆめに在籍しながら地域おこし企業人として長野県小海町役場に勤める小松瑞季さん、地域おこし企業人制度を推進する総務省 地域力創造グループ 地域自立応援課の梶原清さんとの対談です。

移住も視野にいれ企業人に手を挙げたという小松さん。小海町での2年間の活動を軸に、地域おこし企業人が起こすイノベーションの可能性、そして個人・企業・自治体への影響についてお話いただきました。今回は、前編・後編でお届けします。

※地域おこし企業人とは※

総務省が展開する、「地域おこし協力隊」の企業版」のプログラム。三大都市圏に勤務する民間企業の社員が地方公共団体に出向し、観光やICT、まちづくりなどの分野で地域の魅力や価値の向上等につながる業務に従事する制度。

■暮らす“未満”でつながる人を増やす小海町での取り組み

梶原「小松さんは小海町で働き方改革や健康経営に焦点を当てた事業を推進されているそうですね」

小松「はい。『憩うまちこうみ』という事業で、メンタルヘルスケアの観点から都市部と小海町をつないでいます。具体的には、『リ・デザインセラピー』という小海町の自然をいかしたオリジナルのセラピープログラムを町民と作り、都市部企業を受け入れています。医師と連携し、セラピー効果の測定を行ったり、健康経営に関心が高い企業に向けプレゼンしたり、2年を経て、2019年4月から本格的な受け入れが始まりました。12月現在までに累計160人程にいらしていただいています。

プログラムを通して生き生きと変わっていく人の姿を、町民も喜ばしく感じてくれているようです。反対に企業も、小海町のためにとコンサートを開いてくれたり、再び町を訪れてくれたり、ようやく、町の活性化につながるところまできたかなと」

梶原「小松さんの事例は、総務省をはじめ各役所が取り組んでいる地域の関係人口を増やすことを体現されていますよね。総務省としては、地方創生の取り組みとしてサテライトオフィスの誘致の取組なども推進しているけど、小海町ではすでに始めていらっしゃる」

小松「そうですね。『企業の価値も高められる町でありたい』というのが私たちの次の目標です。小海町との協定が健康経営に関心が高い企業だという証明になることはもちろん、取引先などその企業が大切にする方々と集い、さらなる好循環が生まれる場所になることを目指して、会議室やワークスペースをリノベーションで作ろうとしています」

■行動の結果が目に見える地域での経験は、個人の市場価値を高める

梶原「地域おこし企業人は、会社勤めで得た人脈やスキルを活用して地域の魅力をいかす事業に取り組むことが目的ですから、小松さんの事例はまさしくモデルケースといえますね」

小松「私はこの経験で変わった部分もあります。自分の行動一つひとつの影響をダイレクトに感じられますから。都市部にいた時には感じたことがない感覚でした」

梶原「個人として見られることが、企業人にとっては自己実現や自己表現の一助になるのかもしれませんね」

小松「そうですね。その分、やっぱり責任は何倍も感じます。でも、それがやりがいに変わります。問題のレベルも高いですし、あの世界には歯車なんて一つもありません。企業人制度をうまく活用することで、地域人材としての個人の価値を上げることができると思いますね」

■人材育成や新規事業の足掛かりとしても可能性はある

梶原「企業側からすると、こうした人材育成が一つメリットとも感じられますし、もともと事業内容と関連付けて制度を活用する事例も多いですよね」

小松「そうですね。さとゆめは事業に直結しているのでわかりやすいですが、航空会社さんで、就航記念に周辺地域のプロモーションとして2年間企業人を派遣した例も聞きました。

企業人は地域に深く入り込むことになりますから、地域とのつながりを作る、ニーズを知るという意味で、新規事業開発や展開の足掛かりにも活用できるのではと思います」

前編では、小海町での事例から、地域おこし企業人が個人と企業に与える影響を中心にお伺いしました。後編は、自治体の視点と今後の課題をお聞きしていきます。

▼▼人材募集:「憩うまちこうみ」事業マネージャー候補(締め切り:1月14日)▼▼

小海町では、小松さんの後任となる「憩うまちこうみ」事業のマネージャー候補を募集しています。ご応募お待ちしています。

https://shigoto100.com/2019/12/koumi-2.html

▼▼さとゆめのメンバープロフィールはこちらから▼▼

http://satoyume.com/member/

記事/さとゆめ編集部