こんにちは。さとゆめ編集部です。
「ふるさとの夢をかたちに」をテーマに、日本全国で地域政策の伴走型コンサルティングをしている株式会社さとゆめ。
今回ご紹介するのは、株式会社さとゆめに在籍しながら地域おこし企業人として長野県小海町役場に勤める小松瑞季さん、地域おこし企業人制度を推進する総務省 地域力創造グループ 地域自立応援課の梶原清さんとの対談です。
前編・後編でお届けしている今回、前編では、健康経営をキーワードとした小海町での事業と個人・企業にとっての地域おこし企業人制度のよさをお伺いしました。後編は、自治体の目線と今後の課題をお話いただきました。
※地域おこし企業人とは※
総務省が展開する、「地域おこし協力隊」の企業版」のプログラム。三大都市圏に勤務する民間企業の社員が地方公共団体に出向し、観光やICT、まちづくりなどの分野で地域の魅力や価値の向上等につながる業務に従事する制度。
■企業人との協働そのものが、役場を育てることにつながる
梶原「小松さんは株式会社さとゆめから小海町役場に入られましたが、民間企業と役場だと仕事の仕方やスピード感が違いませんか。自治体の変化は感じますか?」
小松「一番の変化といえば、2019年に組織改革があって、部署名が『総務部 渉外戦略係』に変わったんですよ。観光だけではない、新たな形の自治体のあり方を追求する、という攻めの意思表示です」
梶原「それはすばらしいですね」
小松「町長は、職員が『憩うまちこうみ』を通して新規事業立ち上げの過程を理解し進めていること自体も評価してくれており、職員の人材育成としてもこの事業を重視してくださっています。実際、職員の事業への取り組み方の変化は感じますし、できる限り協定企業のニーズに応えたいと積極的に動いてくれています」
梶原「公務員より民間企業人のほうがフットワークが軽いような気がしますし、小松さんみたいな方が入ると職員の刺激になりますね」
■外からのアイディアが、地方創生のカギにもなる
小松「実際、町にいると町外の来訪者とかかわる機会はほとんどないんです。だから考え方も技術も都市部とのズレが生じてしまう。私は、町にとって違和感のあるものほど面白いと思うんです」
梶原「違和感のあるものですか」
小松「はい。私みたいなコンサルタントや、プロデューサー、SE、AI・人工知能の専門家など…例えば、AI・人工知能の技術は都市部の企業等ではマーケティングや営業、設備の維持・管理などに使われていると聞きますが、地方自治体でAI・人工知能を導入するなら、例えば福祉の場面で高齢者の単独世帯の見守りに活用できないか考えると思います。
町民の安心と安全は役場の永遠の課題ですから。活用の仕方や場面を変えることで一見、地方自治体では活用しにくいように見える技術も町民の生活を豊かにする手段になりうる。
でも、地方自治体では最新の技術に触れる機会もそういった技術を有する企業とのコネクションも少ないため、見回り隊を増やすとか、人に頼る解決法を選択するケースが多いのが現状だと思っています。企業人によって都市部にあふれる新しいものやアイディアが入ってくれば、地方創生の大きな一歩になります」
■自治体が描くビジョンがあれば、企業人の活用はより進む
梶原「企業人に何を持ち込んでもらうのかは、この制度の要ともいえますね。それを考えるためにも、まず、自治体のビジョンが不可欠です。自治体のやりたいことがあって、その実現に足りない人脈やノウハウを企業人が補う」
小松「そうですね。小海町も、スタートは観光のオフシーズン対策でした。それで、平日を埋めるために都市部の企業、それから健康経営や働き方改革に着目して。モニターツアーや交流会、東京ではシンポジウムを開いて90社220名にご参加いただき、都市部とのつながりは増えましたし、小海町の注目度はあがってきています。また、小海町だけではなく長野県とも連携を行っており、先日は長野県知事も視察にきてくださいました」
梶原「自治体が、未来の町の姿、企業人との活動をよりイメージできるよう、事例を増やすことは今後の課題ですね」
小松「そうですね。町のよさやニーズを一番知っているのは町民ですから、 “自治体主体”は地域に沿った地方創生のキーワードだと思います」
梶原「移住を含め地域人材の創出というのも我々力を入れていますから、地域で働くよさも小松さんの体験からたくさんの人に伝えてもらえれば嬉しいです」
2回にわたりお聞きしてきた地域おこし企業人制度。今後この制度を活用し、多くの地域で新しい動きが生まれることが期待されます。
▼▼人材募集:「憩うまちこうみ」事業マネージャー候補(締め切り:1月14日)▼▼
小海町では、小松さんの後任となる「憩うまちこうみ」事業のマネージャー候補を募集しています。ご応募お待ちしています。
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