さとゆめ

ふるさとの夢と想いを届けるウェブマガジン

「こんなもん壁」をぶち壊せ!  ~心の中の見えない壁を乗り越える~                                                                   

「こんなもん壁」をぶち壊せ! ~心の中の見えない壁を乗り越える~                                                                   

地域には、「こんなもん壁」が溢れている。

行政なんて、こんなもん。

公共施設なんて、こんなもん。

田舎の道の駅なんて、こんなもん。

地域のウェブサイトなんて、こんなもん。

地方創生イベントなんて、こんなもん。

役場ができることなんて、こんなもん。

コンサルができることなんて、こんなもん。

「こんなもん壁」は、

誰かが決めたわけでもないのに、

全国どこでも、驚くほど同じ高さ(低さ?)だ。

越えても怒られるわけでもないのに、

「予算」とか、「公平性」とか、「経験」とか、

「田舎だから」とか、みんな色んな言い訳をして、

その壁を越えようとしない。

こんなもん壁を越えた先にしか、地域の誇りはないし、

そもそも、越えないと、生き残っていけないのに。

こんなもん壁をぶち壊せ。

と、偉そうに書いたけど、正直なところ、私自身が「こんなもん壁」の存在に気付いたのは最近のことだ。

というより、私自身が、「こんなもん壁」に囚われていた、いや、囚われていることに気付いたのだ。

私が「こんなもん壁」の存在に“はっきりと”気付いたのは、2年ほど前。

2019年8月、私個人としても、会社としても初めてのホテルプロデュースである「NIPPONIA 小菅 源流の村」が開業した。億を超えるお金を地元金融機関等から融資で調達していたこともあり、また、共同出資で設立し私が代表を務める会社が直接運営することもあり、失敗は許されない中で、開業にあたって渾身のプレスリリースを出した。

そのプレスリリースがバズりにバズった。PRTIMESで発信したリリースの記事は、8000以上の「いいね」が付き、2000以上のシェアを獲得し「SNSで話題ランキング」で1位になった。さらには、テレビ東京・WBSで10分という長尺で放送された他、ほとんどの在京キー局で紹介された。

もちろん嬉しかった。一方で、釈然としない思いが自分の中でどんどん強くなっていった。これまでも、いくつもの道の駅やアンテナショップを立ち上げてきた。商品もつくった、大規模イベントもやってきた。それらのプロジェクトすべて、同じくらい本気で、精一杯、最大限の力を込めてやってきたし、いつも渾身の想いでリリースを書いて発信してきた。ただ、ここまでの手ごたえを得られなかったのは、何かが足りなかったのではないかと。

何回も何回も、自分の中で現状と過去を振り返り、咀嚼した結果、ある境地・心境に至った。

Photo by Michiko Ando http://ando-undo.com/

自己否定になるから認めたくないけど、もしかしたら、「こんなもん壁」が、自分の心の中に、多少なりとも、あったんじゃないかと。

そして、このホテルでは、自分が大きなリスクを背負い、追い詰められて、やれることをやりつくした結果、「こんなもん壁」を完全にぶち破ることができたからこそ、これまでにないくらいの反響と成果を得ることができたんじゃないかと。

そして、周りを見渡したときに、私だけでなく、地域や地方創生に関わる多くの人(ほとんどの人?)が「こんなもん壁」に囚われていて、「こんなもん壁」の中でどんぐりの背比べのように、過当競争を繰り広げているのが、今の地域づくり業界、地方創生業界なんではなかろうかと。

そして、だからこそ、「こんなもん壁」の中は、足の引っ張り合い、飛び出た頭の叩き合いで、いわばレッドオーシャンになっているのではないだろうかと。逆に、「こんなもん壁」を一旦乗り越えたら、そこにたどり着いた人は少ない(ほとんどいない)ので、競合が少ない、そしてお客様に喜ばれる、それはそれは穏やかなブルーオーシャンが広がっているのではないかと。

その日から、何か、自分の心の中に、モヤモヤとした、いや、ぬめっとしたような、「こんなもん壁」を飼っているような居心地の悪さを感じるようになってしまい、早くそれをぶち壊して、自分の中から追い出したいという衝動に駆られるようになった。

いや、そうは言っても、自分や仲間の名誉のために言うと、これまでも、さとゆめは常に「こんなもん壁」と戦ってきた。

アンテナショップや道の駅をつくるときも、観光プログラムや商品をつくるときも、いつも、既存のものと一線を画すくらいにとびぬけたものをつくろうとここまでやってきた。そして、それが少なからずできていたからこそ、多くの方々から評価して頂いて、全国40程の地域で長期の伴走をさせて頂けるようになっているわけだ。

そういう意味では「こんなもん壁」を知らず知らずのうちに、その壁の存在を認識しないままに、気付いたら乗り越えてきたのだろう。

ただ、もう「こんなもん壁」の存在に「はっきりと」気付いてしまった今、もう、「こんなもん壁」の中で満足することは許されない。どんな事業も、どんなプロジェクトも、全て、「こんなもん壁」を乗り越えないと、それは全て怠慢であると、自分達に課さないといけないと思ったんだ。

じゃあ、我々は、そして、あなた達は、どうやって「こんなもん壁」をぶち壊していけばよいのだろう。「こんなもん壁」の攻略法はあるのだろうか。

まだ十分に言語化できていないのだけど、何となく見えてきたことを共有しようと思う。例えば、以下の3つは、「こんなもん壁」を乗り越えるカギになるだろう。

①視座の高いミッションを掲げる。

②他分野の一流の人材と連携する。

③多様な資金をバランスよく活用する。

①視座の高いミッションを掲げる。

自分達がなぜここまでやってこれたのを考えたときに、やはり、「ふるさとの夢をかたちに」と言うミッションに助けられた、導かれたという部分が大きいと思う。例えば、「地方創生のリーディングカンパニーになる」とか「コンサルティング業界にイノベーションを起こす」とか、そんなミッションを掲げていたら、結局は地方創生業界、コンサルティング業界の枠を超えることはできないのではないだろうか。

②他分野の一流の人材と連携する。

空間デザイナー、クリエイティブディレクター、ライター、エンジニア、マーケッター、リサーチャー、ウェブデザイナーなど、自分とは異なる業種・業界の一流の人材と接点を持つこと、プロジェクトに巻き込んでいくことで、「こんなもん壁」の外の世界を見ることができ、壁の外に誘導してもらえる。なぜなら、一流の人間とは、多かれ少なかれ、「こんなもん壁」をぶち破った人だからである。積極的に、一流の人材を探し、力を借りていこう。

③多様な資金をバランスよく活用する。

お金というものは恐ろしい。どういうお金を使うかで、そのお金の出どころのルールにがんじがらめに巻き取られてしまう、支配されてしまうのだ。補助金だけに頼ると、どうしても、行政機関の論理、規則、フォーマットにからめとられていくし、VCからの出資だけに頼ると、早期のエグジットを求められて過度の成長志向に傾倒していってしまう恐れがある。多様な資金をバランスよく活用することで、お金の出どころのルールに束縛されず、「こんなもん壁」を越えることにフォーカスすることができる。

私は地域づくりの仕事は、かれこれ20年程やっていますが、恥ずかしながら、ようやく「こんなもん壁」の存在に気付き、今その呪縛から逃れようと四苦八苦しているところです。

皆さんの「こんなもん壁」の経験談や、乗り越え方のアイデアなど、ぜひお聞かせください。

以上、さとゆめ代表の嶋田でした。2021年最初の執筆記事ですので、新年の抱負として、今、自分が自分に戒めていることを書いてみました。

さあ、一緒に、「こんなもん壁」をぶち壊していきましょう。

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