さとゆめ

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地域と仕事とキャリアの話「地方創生の仕事と人材要件について」2

地域と仕事とキャリアの話「地方創生の仕事と人材要件について」2

さとゆめで人事を少しだけ担当している村上です。

前回は、東京と長野を拠点に様々な地域での仕事をしているさとゆめの人材要件の概要についてご説明しました。

今回は、その理由について、都市部でよく話に上がる、「地域にはいい仕事がない説」を交えて書いていきます。

■なぜ「NPO的素養」が必須なのか

さとゆめの人材要件図を再度確認しながら話を進めます。

前回「現状、採用したい人の具体像があるとしたら、上の図のAが必須、Bをある程度持ち合わせている人 」と書きました。

コンサル会社なのに、Bは「ある程度」でAが「必須」というのはどういうことでしょうか。

実はここが、「地域にはいい仕事がない説」と非常に密接に絡んできます。

■地域には仕事化(≒求人化)していないニーズが山盛りある

要件Aが必須なのは、「地域に課題やニーズは山盛りあるが、それがわかりやすい形で仕事になっていない」ことが最大の理由だと私は理解しています。現場には多様な事例がありますが、ざっくり言うと、やりたいことや、やったほうがいいことが明確にあるものの「その担い手が不足している」または「(初動の)お金がない」ことが多い。何が課題なのかが明確になっていないことも多々あります。

そうした中で、地域外のコンサル会社が仕事を獲得するには、そのふんわりとした課題やニーズに対して、「これを長期で形にすれば地域の方が喜んでくれて、街も活性化する事業になるかな?」とか、「こういう事業にしていけば資金もついてくるかな?」というビジネスの嗅覚のようなものと、現地に足繁く通って可能性を見極める高い行動量と熱意が非常に重要で、さとゆめではこれを「NPO的素養」として必須要件としています。

見渡してみると、役員・社員ともに何か社外でNPO的活動をしている人が多く、「NPO経験を必須」としているわけではありませんが、結果そうなっているのは納得のいく話です。

ちなみに、新卒採用のお問い合わせをたくさんいただきますが、Aの能力はある程度社会での経験を積んで獲得できるものと考えており、また現状社員が自力で案件を獲得していく必要がある中で、今は0からの育成の余裕がないため、新卒採用においてはビジネス経験をお持ちの方を除いては積極的にお会いしていない、というのが実情です。

■Bの仕事はレッドオーシャンであり、Bだけができる人はあらゆる業界にたくさんいる

さとゆめの仕事の最も魅力的な点の一つは、NPO的姿勢をもってロングタームで可能性を追いかけることが許されている(「それ今年いくら儲かるの?」と聞かれない)ことではないかと個人的には思っています。

会社経営としては、儲かりそうな金額やニーズが誰に対してもわかりやすく明確になっているBのフェーズのものを、Bの能力を持った人が効率よく短期でまわしていくのが歩留まりが良くて生産性が高い、という考え方もあるとは思います。しかしながら、地域業界でもそうした仕事はもう完全にレッドオーシャンであり、そうした部分だけをつまんでも結果地域のためにならないことも多く、且つ人材畑の人間として何より怖いと思っているのは、「Bだけができる人は労働市場にたくさんいる」ということ。同じようなスキルを持った人が沢山いる領域で似たような経験を積んでしまうと、年齢が上がるにつれ、それこそ労働市場での生き残りが厳しくなる一方なので、Aのフェーズにおいて仕事として成立するのかしないのか不明なタネを長期で追いかけることも正直かなり不安ではあるものの、なんならむしろそういう機会があること自体がありがたい、と一社員としては思う次第です。

次回、もう少し掘り下げます。

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